「脳歯科」という聞き慣れない言葉に、「どんなものだろう?」と不思議に思った方も多いでしょう。脳歯科とは、口腔内から適切なアプローチを行うことによって、身体の機能を改善し、全身の健康を増進することを目的とする歯科治療です。なぜ、口腔からの働きかけで、身体機能が改善していくのでしょうか。
体の「最高司令塔」である脳と口腔はとても近い位置にあり、太い神経や血管でつながっています。口腔から良い刺激を送り込めば、他の部位から刺激を与えるよりもダイレクトに伝わり、脳に大きな作用を及ぼせます。さらに、脳の血流改善も促せます。その結果、全身の機能が整い、より健康な体作りをしていけるのです。
脳歯科では、口腔で発生する“異常信号”を除去し、口腔内を適切な状態に整えて、体の機能回復につなげていきます。実は、口腔からは、さまざまな信号が脳に発信されています。たとえば、近年、噛むことが脳や全身の健康維持に有効であるということが広く知られ、咀嚼の大切さが重要視されるようになりました。これは、口腔から脳に良い信号を脳に与える例の一つです。
しかし、そのような良い信号がある反面、好ましくない信号があるのも事実です。それらの信号は、虫歯や歯周組織の炎症、歯のとがった部分や張り出したかぶせ物などから発生します。そして、身体に異常をきたす原因となるのです。口腔内の痛みや違和感などの自覚症状はないのに、異常信号が、頭痛や肩こり、めまいなどの不調の原因になっていることもよくあります。しかし、口腔やその周辺から発せられる異常な刺激を取り除き、良い刺激を送り込むことで脳機能が改善し、脳の活性化が促進されます。その結果、患者様が本来持っている身体機能を引き出され、さまざまな症状の改善につながっていきます。
口腔環境が改善されると身体の状態もよくなることは、多くの研究結果が示しています。脳歯科の提唱者である新神戸歯科の藤井佳朗先生は、長年の診療の中で良好な臨床結果を多数出し、数多くの国際学会発表や論文発表をされています。これまでの研究成果を受け、脳歯科の治療は自然治癒能力の向上につながり、身体の不調や病気に対する有効な手段になり得るのではと期待されています。
(参考文献)
Fujii, Y. (2021) Dental Treatment
and Quantum Mechanics. Case Reports in Clinical
Medicine, 10, 177-184. doi:
10.4236/crcm.2021.107022.
Fujii, Y. (2021) Dental Treatment for Low Back and
Hip Pain in a Long-Distance Runner: A Case Report.
Advances in Physical Education, 11, 135-140. doi:
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Fujii, Y. (2020) Treatment of Elderly Bedridden
Patients with Removable Dentures to Promote Their
Daily Physical Activities: A Case-Control
Study. Advances in Aging Research, 9, 116-125.
doi: 10.4236/aar.2020.96009.
Yoshiro Fujii: Evaluation of a Mouthguard Customized
Using the Occlusal Position during Maximal Grip
Strength to Improve Sports Performance. A Case
Report. Case Reports in Clinical Medicine,2019.8(6):
147-151DOI: 10.4236/crcm.2019.86017
Global Experts meet on Holistic, Alternative,
Traditional of Dentistry and Medicine / 基調講演
(参照)
http://braindentistry.com/journals/
http://braindentistry.com/society/
脳歯科の治療は、全身のバランスを整えることから始まります。なぜ、歯科治療で全身を診るのか、不思議に思われるかもしれません。しかし、体の各部位は緊密に繋がり、影響を与え合っています。たとえば、先日、食いしばっていた歯が割れてしまった患者様が、「ここ最近、頭痛が続き、肩がズンと重かった。どうしたのかなと思っていたら、歯が大きく欠けた」という訴えをされました。口を開閉する筋肉は側頭部から肩までつながっているため、これらの部分に緊張があると、その先にある背中や首、時には、腕、腰にまで影響を及ぼしてしまいます。
このように、本当に健康な体を作るには、問題のある部分だけではなく、全身の状態をくまなく見ながら、全体的に体を調整していく必要があるのです。そのために、脳歯科の診療では、まず立っている時の安定性、肩の柔軟性、股関節や膝の柔軟性などをチェックし、全身状態の評価からスタート。さらに、BDORT(Bi Digital O-Ring Test)を始めとするいくつかの検査によって、より詳しく、体のバランスや反射、柔軟性を診ていきます。
これらの機能に低下が見られた場合には、まずは安定性や柔軟性を回復するために、口腔内の処置をいくつか行い、全身を調整します。それだけでも機能改善が得られますが、まだ主症状が残っている場合は、さらに問題の部位を絞りながら、口腔内を微調整していきます。このようにして、きちんと立てる状態に全身バランスを整えることにより、転倒の防止、腰痛や肩こり、首の痛みなどの改善、筋力の増進などが期待されます。
眞美デンタルオフィスでは、脳歯科以外にも統合医療の一環として東洋医学を用い、ご希望の方には必要に応じて、歯科鍼灸や漢方薬処方も行います。患者様お一人お一人の状態に合わせて、より最適な治療を実現するためです。経絡とは、全身に張り巡らされた「気血」のエネルギーの通り道と各臓器や器官組織をつなぐ道のことです。体は複数の経路でつながっているため、症状のある部位だけを考えるのではなく、経絡全体を診て治療を行っていきます。
東洋医学では、健康とは、「気・血・水」が最適な状態で循環している状態とされています。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、眞美デンタルオフィスの脳歯科治療は、「森(全体)から木へ、そして枝へ」と治療を進めていきます。参考までに、東洋医学と西洋医学の違いをお話しすると、西洋医学は、戦場で発達したという性質上、急性の疾患には威力を発揮して、私たちの命や生活を守ってくれます。西洋医学の特効薬や治療手技は、体の部位別に細分化された疾病に対して有効で、原因に直接作用するからです。
しかし現代では、腰痛や片頭痛、慢性疲労性症候群、肩こり、アレルギーなどの慢性疾患をもつ方が増えました。はっきりとした解決に至らないまま、不調と付き合っている方も多くいらっしゃいます。原因と症状が一対一で結びつかないそんな症状には、東洋医学などの全身的なアプローチが有効な場合も少なくありません。
また、もし自覚症状がなくても、症状がはっきり出る前に身体全体を整えて、病気になる前の「未病」の状態で健康を取り戻していくことがが大切です。具体的な方法としては、歯に微細な調整を施したり、手指やレーザーで粘膜やツボに短時間の刺激を与えたりして治療を進めていきます。患者様に負担や痛みのない優しい歯科治療です。
もちろん、必要に応じて一般的な歯科治療も行い、大学病院で長い間専門分野の臨床を行っていた院長と、現在も大学病院の臨床教授を務める副院長、同じく臨床教授の藤林歯科医師、3人の歯科医師が、それぞれの専門性を生かして診療に当たっています。
治療の中では、身体の不調を取り除くために、歯のかぶせ物や詰め物の材料にも着目。前述のBDORTによる生体反応から、適切な材料を選んでいきます。これらの材料を変えることによって、電磁波過敏症やアレルギーなどの症状の改善も認められた報告がなされています。
当院の柱の一つになる新たな治療スペースとして、脳歯科や東洋歯科医学専用の診療室も整えました。眞美デンタルオフィスの得意分野である、従来の予防歯科と共に、脳歯科と東洋医学の専門知識を活かし、皆様の健康のお役に立つ医療を提供していきたいと思っています。
(参考文献)
Severe dermatitis might be
caused by a cross-reaction between nickel and
palladium and dental amalgam resolved following
removal of dental restorations. Clinical Case
Reports, 2017. DOI: 10.1002/ccr3.938
初診 (脳歯科治療初回) |
初診問診+診断料+口腔内調整含む 約2時間 ¥33,000(税込) |
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再診 (脳歯科治療2回目~) |
診断料+口腔内調整含む 約1時間 ¥11,000(税込) (歯科治療は別途) |
私が、口腔環境が全身に大きな影響を与えると気づいたのは、ある若い女性の患者様との出会いがきっかけでした。大学病院に勤務していた時代に担当したAさんです。Aさんは、お口の中にほとんど歯根しか残っていない状態で来院されました。
当時の私は、歯内治療担当として、1本1本の歯根のミクロン単位での治療に取り組む毎日でした。歯根の病巣除去や歯肉の形態を改善するオペも実施。日々、1センチ程度の根や10センチほどの範囲のオペの繰り返しに集中し、口の中をより良い状態にすることに全力を傾けていました。
そんな中、訪れたAさんの口腔内の再建は、私の他に、かぶせ物や矯正など専門医とチームを組んで数年がかりで行われました。すると、治療が進むにつれて、まずAさんの顔が変わり、骨格が変わりました。そして、線の細かった少女は、スタイルの良い健康的で素敵な女性に変身を遂げたのです。
Aさんの治療を通して、私は改めて、歯科治療がここまで人の体を変えるのかと衝撃を受けました。そこから、「自分が行う歯科治療が体に良い影響を与えるには、どうしたらいいのか」「自分の持つ歯科医のスキルを、もっと皆様の健康のために生かせないか」という思いを持つようになったのです。そして、治療の一部分だけではなく、全体的に治療に関わりたいと思うようになり、「歯科医として皆様の健康のお役に立ちたい」と願い、開業を決意しました。開業のために大学病院を退職する頃には、Aさんは結婚してお子さんも生まれ、子連れでメンテナンスに通うようになっていました。開業以来、患者様の歯と全身の健康のために、さまざまなチャレンジを続ける中で出会ったのが、脳歯科です。
脳歯科の創始者である藤井佳朗先生を初めて知ったのは、歯科関係の書籍でした。当時は、自分の医院を作っていくことに気持ちが向いていた時期でもあり、先生がやっていた、BDORTを使った検査を知って、「変わったことをする先生もいるなぁ」と思っただけで、遠い世界の話として読み流していました。
その後、開業して10年が過ぎた頃、東京で行われた藤井先生のセミナーを受講。そこで自分の前歯を調整して頂くと、翌日からそれまでのかみしめが一挙に楽になり、「これはすごい治療だ」と驚きました。その画期的な治療法に興味が湧いたにも関わらず、「普通の歯科医である自分が、そのような治療をするのは現実的ではない」と考え、好奇心に蓋をしてしまいました。
それから数年後、たまたま訪れたイベントで、再び藤井先生の治療を拝見する機会がありました。その時、先生が行ったデモンストレーションも衝撃的でした。腕が痛くて上がらないという方の腕が、口の中のほんのわずかな調整で瞬時に上がったり、腰が痛くて曲げられない人が、私以上に前屈できるようになったりしたのです。
目の前で起きた出来事は、私の臨床経験で理解できる範囲を超えていて、にわかに受け入れがたく数々の疑問が湧いてきました。その疑問を解決するために、数日後には、神戸にある藤井先生の新神戸歯科に見学に行ったのです。そこで、実際の診療と治療結果を目の当たりにすると、口腔内の刺激が身体に及ぼす影響の大きさが予想以上であり、脳歯科治療は魔法でも暗示でもなく、「科学」であるという納得を得られました。脳歯科との出会いは、長年目指してきた治療の実現につながると確信しています。
脳歯科を学べば、開業以来、私がやりたいとチャレンジし続けてきた治療に必ずつながると確信し、本格的に藤井先生の門を叩くことを選択したのでした。以来、惜しみなくこれまでの知見や手技を公開して下さる先生から、診療見学や先生の主宰される藤井塾などを通して、多くの学びの機会を頂いてきました。
脳歯科の治療法は日々アップデートし、極力、歯に触らず、また、歯を削らない方向にどんどん進化しています。私自身も、脳歯科診療を開始した頃に比べ、切削器具を持って歯に触れる時間が、格段短くなりました。今も勉強を続け、常に新しい方法を取り入れるように努めています。脳歯科治療を、歯と全身の健康のベストアンサーにするために日々精進しています。
超高齢化社会を迎えた今、「100年人生」も現実となってきています。そんな中、入れ歯も含め、奥歯で噛める人と噛めない人では、フレイル(運動機能低下後退)発症や認知症の進行程度に差があるという報告が数多くなされています。口と脳の関係は、メディアでも頻繁に取り上げられているので、当院の患者様との会話を通しても、口の中の状態が脳の状態に直結しているという認識が少しずつ広まってきているように感じています。
「長年悩んでいる体の不調を改善したい」「健康寿命を延ばし、いつまでも元気な毎日を送りたい」……そんなご希望を持つ皆様に、口と脳の関係にいち早く注目して成果を挙げている脳歯科の治療を、一度お試し頂ければと思います。「人生100年時代」を健康に生き抜くために、脳歯科をご活用下さい。
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